ロゴ

育ちの支援オフィス

かんごの木

メビウスの輪: トラウマ支援の脱力系おべんきょう日記(3) クライエント体験の批判的考察?

前回は「クライエント体験してみた」というお話でした。
私の研修を受けたことのある方は、前回の話は「マイルドで面白くない」と思われたことでしょう。
今回は、得意の裏返しバージョン(?)でございます。
   
さて、西尾和美さんのアファメーション本を使ったセルフケア(クライエント体験)についての事後談です。
正直に言えば、毎日「いいな~」と思って素直に楽しめたのは10日くらいでしょうか(笑)
飽きました!
今は、移動のときや、仕事の合間の、ちょっとしたスキマでひらいてみて、ざーっと何日分か読んで、
いちばん心に残ったことについて振り返ってみる程度です。
効果はですね・・・たぶんあると思いますが、条件があります。
自分の栄養になるように読めば、自分のメンテナンスにはなる。
つまり「読み方」がポイントです。
   
自分を助ける読み方(いいところをちゃんと見て、そこを膨らますために学ぶ姿勢の読み方)をすればOK。
単に、自分の良し悪しを評価するような読み方、あるいは、単に叱咤する読み方をすれば、自分で自分を傷つけ直してしまうかも?
下手な読み方すると、傷をえぐります。
   
どこでそれを感じたか・・・
「機能不全家族で育つと」という記述があるんです。ここで、私としては「うわぁ・・・これは・・・」と思いました。
どんな家族でも、その人を決定づけるもので・・・これって、あなたは機能不全人間だよって言われているのと同じで・・・
もちろん、「機能不全家族で育った人」と、自分にラベルを貼ることで生きにくさの理由がわかって、
その結果、気持ちが落ち着くというか納得できるというか・・・そんな心もちで、自分を癒すことに専念できる人もいるでしょう。
しかし・・・うーん・・・私は嫌だな・・・と思いました。(これ、あくまで個人の好みの問題です。)
  
さらに「健全」という言葉が出てきたときに、得意のひねり癖が出て来て「ナナメ」に読むようになってしまいました(笑)
   
おぬし(著者)は、私に「健全な人物になれ」と暗にけしかけておるな??
   
そう思いました。ごめんなさい m(__)m
これって、書いたもの全般について言えることですけれどね・・・著者の価値観が亡霊のように立ち上がるんです。
もちろん、著者の価値観がそうだと決まったわけではありません。本当に著者の価値観を分析するなら、
複数の著作をまとめて読まないと(もっと言うなら分析しないと)わからないし、それでも誤読はあるものです。
(だから議論が大事なんです。哲学の場合、この「議論」が格闘技みたいですけどね。)
  
横道にそれましたが・・・  
大体10日(ページ数にしたら20頁くらい)で飽きたというのは、そこ(価値の問題)です。
グラウンドレベルよりも下にいる自分が、神を目指せと言われているような気持ちになってくる。「健全って何?」となってくる(笑)
この価値の問題を乗り越えて、健康的に生きるための糧をのこすためには、
やっぱり、読んだあとのワークが必要かな・・・と思いますね。なので、この本を、グループセッションで使うのはいいと思う。
「どう思う?」「どう思った?」「できるかな?」「いや、きついね~」みたいな自由な話し合いを。
   
便利だからつい使ってしまう「機能不全」 ・・・ でも、何をもって評価してるんだろうね?とつきつめて考えると案外あやういものです。
悪いこと言うのは、わりと簡単です。こういう点で有害です、こんなことがあって困っています・・・ということで、問題点は言いやすい。
でも、良いこと言うのってとっても難しいんです。
言わないとわからないから仕方なく言葉にするけれど、言ったとたんに陰がくっついてきてしまう。
良いことを言うのって、光を見せることだと個人的には思っているのですけれど、光って陰がないと認識できませんよね。
しかも直接目にいれると、周りが見えなくなってしまう。痛い。
人に対して、何か「うまいこと」を言いたくなったら、イエローカードだと個人的には思っています。
聴くのが一番です。(聴けてない自分を猿みたいに反省ばかりしている私が言うのもなんですが・・・)
    
・・・ということで、結論ですが・・・
本でお勉強するセルフケアには限界がある!
集団療法とか、グループセッションとか、小集団プログラムに関心がある私としては、
やっぱり、クライエント体験って、教えられる体験じゃなくて、 生活の中で気長に宝さがしする体験だよな~って思います。
    
本もそういう使い方ができたらいいのでしょうね。
本は一人で能動的に読み取らないといけないので、 なかなか難しいアイテムだと思います。
宝さがしをして豊かになれる様な読み方できればOKでしょうけれど、 それができたら苦労しない・・・という言い方もできるのかな??
要は、どんな人も、自分で自分を癒しつつ育てることができたら、それでいいのでしょうね。
   
そんな発想から・・・
最近は「自己」について書かれた新しい本をパラパラ読んでいます。
この連休中、一気に読んだ本が一冊ありました。たぶん、著者と価値観が合うのでしょう。
内容は、多くの人が引く「解離」のお話です。
臨床家のための専門書ですが、本当に(興味深いという意味で)面白かった。
そんなお話は、次回にしたいと思います。
 

前
メビウスの輪: トラウマ支援の脱力系おべんきょう日記(2) クライエント体験
カテゴリートップ
コラム
次
メビウスの輪: トラウマ支援の脱力系おべんきょう日記(4) それは生き延びるための選択の結果では?